2025年11月4日
東京都大田区にお住まいのお客様より、漆塗り金仏壇の修理のご依頼をいただきました。
お預かりしたお仏壇は、長年大切にお祀りされてきたもので、経年による傷みが随所に見受けられました。特に、雨戸(外扉)や内部の金箔部分には、過去のお手入れの際に拭き掃除で金箔が剥がれてしまった痕があり、部分的に下地が露出している状態でした。
また、漆塗り部分については、木地(きじ)の乾燥や経年劣化によって細かな割れや塗膜の浮きが発生していました。そのため今回は、部分補修ではなく、漆部分の全塗り替えを行うこととなりました。古い塗膜を丁寧に研ぎ落とし、木地を補修したうえで、下塗りから上塗りまで職人の手で一層ずつ塗り重ねていきます。こうすることで、漆本来の深みのある艶と質感が蘇ります。
金箔部分に関しては、損傷の大きい雨戸(外扉)と内部の金箔をすべて新たに貼り直し、輝きを取り戻します。また、装飾性の高い欄間(らんま)や宮殿(くうでん)部分の細工箇所については、現状の金箔を残しつつ、専用の溶剤を用いて金箔洗浄を行い、煤(すす)やホコリなどの汚れを丁寧に取り除きます。
このように、必要な箇所を見極めて「新しくする部分」と「活かす部分」を分けることで、全体の調和を保ちながら、お仏壇本来の荘厳な美しさを最大限に引き出してまいります。
ご先祖様をお祀りする大切なお仏壇が、再び美しくよみがえり、これからも末永くご家族を見守っていけるよう、職人一同、心を込めて修復にあたらせていただきます。


